孫正義-300年王国への野望-に学ぶ プラットフォーマー戦略

「孫正義ー300年王国への野望ー」(日本経済新聞社)は、巨大企業ソフトバンクを築いた孫社長がどのような経営者かを知るうえで、とても参考になる。特に、米スプリント社に続き英アーム社を買収した背景に「一貫した戦略」があることを理解でき、これからの同社の成長が楽しみになった。

本書でも紹介されているとおり、孫社長は米国の石油会社を例に出し、「シェアで1位になるとそのエリアでライバルを完全に制覇したら値段を少しずつ上げて儲かるようにしていく」というマーケティング戦略を語られることがあるそうだ。

ロックフェラーのように「流通の上流と下流の最大手を一気に独占してしまうことが、流通のプラットフォーマーとなる最短距離だ」との考えは、大胆だがとても興味深い。ここ最近のソフトバンクの一連のM&A戦略も、この視点から考えると一貫性があることに気付かされる。

また、本書では、ソフトバンクが現在の巨大企業になるまでに、様々な方々の支えがあったことを紹介している。成長ステージによってCFOの求められるスキルが異なることを、実例を読んで改めて感じた。

「ツーペア」より「フォーカード」を狙うという孫社長流の思考法を見習いたい。

業務属人化からの脱却方法⑥-まとめ

これまで5回に渡り、開示業務の属人化を解消するための方法について解説してまいりました。そのポイントを纏めると、以下の通りとなります。

  • 法定開示書類の作成実務は、その業務の性質上、属人的な業務になりやすい傾向があります。
  • 業務属人化を放っておくと、開示遅延リスク退職リスク不正リスク等につながる可能性がありますので、継続開示義務を負っている上場会社としては、対策を講じる必要があります。
  • 業務属人化を解消するためには、①複数の担当者が同じ業務をできる体制とし、②担当業務及び開示書類作成過程の「見える化」「標準化」を行い、③これらが継続して運用される「仕組み」をつくる必要があります。
  • 業務属人化を解消し、ブラックボックス化しない「仕組み」を創るには、①開示項目と基礎資料との紐付けを行い、開示書類作成過程の「見える化」を行うこと、②基礎資料の「標準化」を行い、誰が見ても分かりやすい作り方とすること、③開示チェックリスト等を活用し、誰が開示書類を作成しても品質を維持できる「仕組み」とすることがポイントです。
  • 「仕組み」を維持し業務を定着化させる為には、業務マニュアル等の活用が効果的です。

業務属人化を解消するための方法

このように、開示書類作成過程の「見える化」「標準化」を行い、チェックリスト等を活用して担当者のレベルアップを図ることで、開示業務の分担や引継ぎを推し進め、複数の担当者が同じ業務をできる体制にすることが可能となります。その結果、業務属人化リスクを軽減することにもつながるわけです。

是非、皆様方の会社でも、開示業務の「見える化」「標準化」を図り、複数の担当者が同じ業務をできる体制を目指しましょう。

業務属人化からの脱却方法⑤-属人化しない 『仕組み』を創るための3つのポイント

本稿では、開示業務がブラックボックス化しないための「仕組み」を創るうえでのポイントを3つ紹介します。

①開示項目との紐付け

まず、開示書類の作成過程の見える化を図るために是非行っていただきたいのが、開示項目と基礎資料の紐付け作業になります。
開示書類の各開示項目とそれらを記載するために作成・集計した基礎資料との関連性を明らかにし、開示書類の作成過程の「見える化」を行うことが、業務の引継ぎを行う際や、進捗を管理する上でも重要です。

当社で開示書類作成アウトソーシングのサービスを提供しているお客様については、開示書類作成の根拠となる資料を一覧表に纏め、それぞれの基礎資料が法定開示書類(短信、有価証券報告書・四半期報告書、計算書類等)のどれに使用しているかを整理します。その上で、開示項目の目次単位で、基礎資料との紐付け作業を行ない、その管理表に基づいて、開示項目の整理と進捗管理等を行っております。作成プロセスを可視化することは、内部統制上も重要です。

②基礎資料の標準化

次に、基礎資料、開示根拠資料等の標準化です。「自分にしか読み解けない資料」「作成過程を解読することが困難なスプレッドシート」が存在すると、それを引継ぐことや、第三者がチェックするのは難しく、その結果、誤謬リスクにつながりかねません。

ですから、第三者がみても容易にチェックやトレースができ、基礎資料から開示書類への転記ミスが起こり難いようなフォームを採用することが重要となります。

例えば、税効果関係や金融商品関係の注記を作成する場合、スプレッドシート上で、開示書類に転記する最終結果を開示する単位(例えば、千円)で作成しておくと転記ミスを減らすことができます。また、開示根拠資料となるスプレッドシートに余計な情報を入れすぎないように留意すべきです。様々なブックとのリンクを貼ったり、難しい関数を駆使してデータ連携をさせるのも避けるべきです。作成した本人にしか解読できず、引継ぎの際に苦労しますので、注意しましょう。

③チェックリストの活用

最後は、チェックリストの活用です。

ベテランの担当者が部署異動等で担当替になると、途端にクオリティーが下がり、監査法人から様々なミス・不整合の指摘が増えるというケースがあります。これは、経験不足が原因なので、ある程度はやむを得ないことだですが、内部統制上は、やはり監査法人頼みにするのではなく自社でチェックできる体制を築くべきです。ですから、ベテランの属人的なチェックに頼ることなく品質を維持するために、チェックリストの活用はとても重要になります。

開示書類の漏れや記載誤りを自社のメンバーで発見でき、その品質を維持するために、チェックリストの導入・活用を是非ご検討頂きたいと思います。

以上、3つのポイント各々について自社の体制を見直し、開示業務の属人化を解消する糸口を探して頂きたいと思います。

業務属人化からの脱却方法④-属人化を解消する3つの要件

今回のコラムから、法定開示書類作成実務における業務属人化を解消する方法について解説します。

属人化を解消するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

複数の担当者が同じ業務をできるようにしておくこと

②担当業務及び開示書類作成過程の見える化標準化を図ること

③これらが継続して運用されるための『仕組み』をつくること

人数に余裕があれば、複数の担当者が同じ業務をできる体制を築くことで業務属人化の解消を図っていくということが可能となります。

ですが、いくら複数の担当者が同じ業務を担当していても、従前どおり会社独自の方法、第三者からは分かり難い方法で実務を行っていたら、前回のコラムで紹介した属人化により生じるリスクの全てを解消することにはなりません。

開示業務の担当者が何をどのように作成しているのか、プロセスを明確にすることで、他の者が業務を引き継ぎやすくなります。また、誰でも同じ業務ができるようプロセスの標準化を図ることが重要となります。

そして、これらの体制を維持するためには開示業務作成プロセスにおける標準化の『仕組み』を創ることが何より重要となります。

いくら業務プロセスをマニュアル化し見える化できたとしても、それらを活用して、体制を継続できるための『仕組み』を作らなければ、長続きせず、結局、以前の様な属人的な業務に戻ってしまう可能性があるからです。

次回のコラムからは、この『仕組み』をどのように創っていくかについて解説します。

業務属人化からの脱却方法③-業務属人化がもたらすリスク

今回は、法定開示書類作成実務における業務属人化のリスクについて解説します。

『開示実務ができるキーマンがいて、それで実務が回っていれば特に問題ないではないか?』と考えられる方もいらっしゃると思います。この業務属人化という状況を放っておくとどのような事態を招くのかについて、当社で提案に伺った際に伺った実話をもとに、いくつかの事例を紹介します。

ケース1:誰とも業務を共有しないまま、経理部長が突然退社

上場申請書類の作成から上場後の開示書類の作成まで取り纏め役として、開示書類の大部分に関わってこられた方が急遽退社され、過去に作成した開示根拠資料がどこにあるか、どのように集計・作成されていたかなどの引継ぎが十分になされなかったそうです。後を託された方が対応に困り、弊社へ相談が持ち込まれました。
この会社では開示の実務経験者の採用も行われておりましたが、良い方が直ぐには見つからず困っておられました。
このようなケースが生じると何が問題となるかというと、まずは過去の注記や書類の作成プロセスを十分に理解しないまま本決算対応をすることになり、当然、過去のやり方・考え方と違うポリシーで作成してしまう、あるいは、情報不足で誤った数字を拾ってしまうなどの誤謬発生リスクが高まります。
また、このお客様のケースでは何とか予定通りに決算発表、法定開示書類の提出が間に合いましたが、場合によっては開示書類提出の遅延、つまり開示遅延リスクを招くことにもなりかねません。
さらに、急いで採用を決定してしまうと、採用のミスマッチが生じるなど、採用リスクも高まることにつながります。
この様に、キーマンが突然退社されると、様々なリスクが生じます。

ケース2:担当者が産休のため、1年間休職することが決定

この会社では、開示システムへの入力業務を担当されていた方が産休に入られることとなり、その結果、開示書類の作成、入力ができる担当者が一次的に不在になるという事態になりました。
産後、復職された後はこれまで通りの体制に戻る予定であったため、一時的なリソース不足を補うため、弊社にアウトソーシングのご相談がございました。
この様なケースでは、リソースの補充という手段が採れない限り、上長や同僚の業務負荷が高まり、長時間労働での対応を余儀なくされる事態も想定されます。そうなりますと、体調を崩すなどの労務リスクや、場合によっては疲労やストレスが原因で退職してしまうという事態(退職リスク)を招きかねません。

ケース3:管理部門責任者が連結決算から開示まで1人で担当

この会社では、管理部門責任者による会社資金の私的流用、着服が発覚し、責任者の方が解雇されました。
これまで連結決算から開示までこの方が1人で対応され、引継ぎ資料やマニュアルなどが存在しなかった為に、これまでの作成プロセスを紐解くだけで相当の時間がかかってしまったそうです。そこで、決算発表が期日に間に合わなくなるリスクを回避するため、弊社で開示書類の作成部分を支援することとなりました。
この会社のように、特定のキーマンに業務が集中し、それをチェックする人がいない状況を作ってしまうと、このケースのように不正リスクに繋がりかねないので、ガバナンスの観点からも業務分担とその統制には十分な留意が必要となります。

 

これら3ケースは、上場会社において実際に起きた事例です。

確かに、業務の属人化が起きてしまっていたとしても直ぐには困らないかもしれませんが、ここで紹介したリスクを考えると、上場会社として継続開示義務を負っている以上は、何らかの対策を検討しなければなりません。

次回のコラムから、属人化を解消する方法について解説します。

業務属人化からの脱却方法②-開示書類作成業務が属人化する背景

今回は、開示書類作成実務が特定の人に業務が偏り、属人化してしまうのは何故なのか、その背景を整理してみたいと思います。

大きく分けて3つの側面が原因として挙げられます。

業務属人化の発生原因

1.『開示書類の作成実務に求められるスキル』について

①開示書類の作成は、開示ガイドラインや務諸表等規則等、様々なルールに基づいて作成しなければならないので、その開示ルールに関するある程度の知識が求められます。

②加えて、最近では毎年のように頻繁に開示ルールや様式の改定が行われておりますので、最新情報のキャッチ・アップをするだけでも相当の労力を必要とします。ですから、他の職種と比べ、専門性が必要とされる業務であると言えると思います。

大手企業の場合、人事戦略の一貫として、JOBローテーションによる定期的な部署異動を行っている会社もありますが、この開示業務という領域だけは、専門性が高い領域なので、ローテーションに組入れるのは難しく、その結果、毎年、同じ方が担当せざるを得ない状況が生まれてしまっていると考えられます。

2.『組織における課題』について

③ただでさえ開示書類の作成をできる人が限られ、しかも、毎年のルール改正のキャッチ・アップに追われている忙しい方が担当していますので、人を育成する時間なんて採れない、あるいは、④引継ぎ資料やマニュアルなんて作っている時間的な余裕はない、という声を良く耳にします。

つい先日、お伺した上場企業の経理部の課長の方から聞いた話をご紹介します。その会社では、連結パッケージのフォームが子会社の実態にそぐわなくなっているので、フォームの見直しを検討したいけど、その時間が採れない。 その結果、どうしているかというと、個別に情報を拾ってパッケージとは別にエクセルで集計し直しており、その作業のために決算に時間が掛かってしまっているし、後から修正が入ることも多いそうです。また、そのエクセルも第三者が見てわかるように綺麗には作っていないので、その集計作業を誰かに引き継ぐことも難しいと仰っていました。

つまり、業務の標準化が出来ていないから引き継げない、引き継げないからますますその人に業務が集中し、その結果、マニュアル作成やフォームの改定等の業務標準化に取り組めないという負のスパイラルに陥り、そこから抜けられないという悩みを漏らされていました。このような上場企業は、多いと思います。

⑤また、開示書類の作成は会社の様々な部署と連携を採りながら、作り上げていくものですから、会社全体の業務をある程度把握されている方、つまり比較的年次が上の方や、中途で入社された方でもそこそこのポジションの方が担当されるケースが多いです。その結果、その業務をチェックする人も限られ、毎年のようにローテーションで変わるということがやりにくいポジションとなり、それが結果的に業務属人化に繋がっていると考えられます。

3.『心理的側面』について

⑥開示業務は、決算業務同様、比較的専門性の高い業務領域になりますので、それを担当する方はどうしても職人的なマインドでミス無く完璧に書類を作成しようと努力されます。私も以前、事業会社で実際に開示書類を作成する立場を経験してきましたので気持ちが良くわかりますが、ミス無く書類を作成しようと思えば思うほど、「自分にしかできない」という義務感が生じ、人に任せられなくなります。

⑦また、人によっては、自分の業務を囲いたがる方もいらっしゃいます。その根底には、「他人に自分の業務を奪われたくない」という心理や焦燥感があるのだと思います。特に連結決算業務や難しい税効果の注記、開示業務などは、専門性が高いゆえに、それをできるというだけで会社に価値を認めて貰えますので、自分の仕事のテリトリーを明確にして、第三者に口出しされたくないといったマインドを持たれている方が多いと感じます。

このように様々な側面から、開示書類作成業務というのは、そもそも業務属人化を招きやすく、また、特定の人に業務が集中しやすい職種だということをご理解頂きたいと思います。

業務属人化からの脱却方法①-長時間労働につながりやすい職場慣行

昨年の電通事件以降、長時間労働に関する法整備の検討が進んでおり、最近は、様々な企業で『働き方改革』に関する検討や制度導入を進めているという話しを耳にします。

先日、経団連が「長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策」というテーマについて、会員企業を対象に調査を行い、その調査結果が公表されています。

【2017年労働時間等実態調査 集計結果】

この資料によれば、長時間労働につながりやすい職場慣行として挙げられたもののうち、ダントツで最も多かったのが「業務の属人化」だったそうです。

長時間労働

2017年7月18日経団連公表「2017年労働時間等実態調査集計結果」より抜粋

皆様の会社でも、法定開示書類作成にあたって業務が属人化している、或いは特定の方に業務が集中しているといった課題を抱えられている会社も多いと思います。

そこで、本コラムでは、「開示業務の属人化を解消するためにはどうすれば良いか」という点にフォーカスして、法定開示書類を作成するための仕組みづくりのポイントを解説いたします。

7つの習慣に学ぶ時間管理ー第二領域の時間の作り方

3月決算の会社に勤められている経理部門の方は、この時期、1年で一番忙しい時期に差し掛かっている頃かと思います。

納期や締め切りに追われる日々が続くと、どうしても本来はやらなければならないと自覚している重要な業務が後回しにされ、昨年よりも良くなった(成長した)と感じられるような成果が得られないという経験はありませんか?

この点、「7つの習慣」(スティーブン・R・コビー著 キングベアー出版)の第3の習慣で時間管理について解説されており、私はいつもこの考えを意識するように心がけています。

本書では、下の図のように緊急度を横軸、重要度を縦軸として、仕事を分類します。

時間管理マトリックス

具体的にどのような仕事が分類されるかというと、

重要かつ緊急度の高い第一領域:

  • クレーム対応
  • 締切りのある仕事
  • 病気や事故等

重要だが緊急ではない第二領域:

  • 社内のマニュアル作り
  • システム作り
  • 集客の仕組み作り
  • 品質改善

重要でないが緊急度の高い第三領域:

  • 大半の電話
  • 無意味な接待や付き合い等

重要でも緊急でもない第四領域:

  • ネットサーフィン
  • 単なる遊び等

 

当然、ビジネスにおいて重要なのは、第二領域の仕事をこなしていくことです。

システムが構築できれば、作業の効率があがり、納期を守れる。

集客システムを構築できれば、その場凌ぎのセールスをしなくて済む。

サービスの品質を上げれば、クレームが減る。

というように、第二領域の仕事を増やすことで、緊急である第一領域の仕事をどんどん減らすことができるようになります。

とはいえ、「それがなかなかできない」というのが現実です。

ついつい、第一/第三領域の仕事ばかりに時間がとられ、

第二領域のための時間がとれない・・・。

今年こそ、業務のやり方を改善して効率化しようとしていたのに、締切りが間に合わないので、結局、去年と同じやり方になってしまった・・・。

その結果、部下への引継ぎも思うように進まなかった・・・。

 

このようなことの繰り返しや「言いわけ」を避けるため、私が実践していることをいくつかご紹介したいと思います。

ポイント①:毎週、必ずまとまった時間を確保するように計画する

どんなに忙しくても、第二領域の仕事をする時間を予めスケジュールに入れ、しかも細切れではなくまとまった時間を確保するようにしましょう。

こうすることで、意識して第二領域の仕事を効果的・効率的に実行でし、成果も得られるようになると思います。

ポイント②:重要度の判断がブレないように明確にしておく

締切りに追われ、忙しいくなると、どうしても重要度の判断を都合の良いように解釈してしまい、その結果、本来、やらなければならないと自覚している事項を後回しにしてしまいがちです。

しかし、重要か否かは、達成したいと考える目標・組織であればミッションや経営目標、それに基づく予算等をクリアするのに必要な業務かどうかで決められるべきものであり、本来、緊急度の高い仕事の発生等で重要度を変えるべきではありません。

したがって、判断がブレないようにするため、予め文章・タスクに落とし込んでおくべきです。

私の場合も、常にやらなければならない課題・タスクをリスト化し、週に1度は目を通すことを習慣にしています。

ポイント③:目標(企業の場合は、ミッション・ステートメント)の精査

この4つの領域の目的は、中長期的な目標・夢に貢献する第二領域を増やすことにありますが、そのためには時間の使い方を見極めること以外に、目標・計画を精査することも必要です。

目標や計画を精査することで、いままで重要事項だと気付かなかった事項を自覚できるようになれば、第二領域を増やすことができ、その結果、夢の実現に向けて一歩近づけるようになるでしょう。

 

忙しさを「言いわけ」にせず、本来やらなければならないと自覚している重要な事項を見失わない習慣を身に着けたいですね。自戒を込めて。

 

平成29年3月期に係る決算短信の様式の見直しについて

東京証券取引所は、「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ」報告の提言に従い、決算短信・四半期決算短信の開示の自由度を高めるとともに、速報としての役割に特化するため、所要の見直しを行ないました。

東証ホームページ 参照

平成29年3月期から適用される改正点の主なポイントは以下のとおりです。 続きを読む →

決算・財務報告プロセスにおける内部統制⑥――不適切会計の事例に学ぶ内部統制の重要性(まとめ)

前回までのコラムで御紹介した不適切会計の事例からもわかる通り、売上の過大計上や、工事原価の過少見積などは、販売プロセスや購買プロセス、生産プロセスなどの各業務プロセスで起こる場合が多いです。しかし、業績に対する過度なプレッシャーなどが背景にありますので、単に関連部署の上長による承認といった内部統制だけでは機能しないことがあります。また、B社C社の事例のように経理部門において行なわれる決算整理仕訳のうち、例えば経過勘定に関するものや工事進行基準のように会計上の見積もりを伴う仕訳に対して、社長や経営者の指示で恣意的な操作が行われる場合もありますので、単に経理部長の承認だけでは内部統制として不十分な場合もあります。

しかし、A社の事例のように、仮に決算・財務報告プロセスにおける内部統制の整備を検討する上で、先方の検収が行なわれた日付が明確でない受領書だけをチェックするのではなく、実際に設置作業か完了した日付を証明するために作業報告書までチェックしていたら、事態が早期に発覚し、不適切会計が行なわれるのを防げたかもしれません。残高確認も、収益・費用の認識時点を取引先と確認するうえで重要な手続きですから、監査法人任せにするのではなく、重要な内部統制手続きの一貫として、期末に限らず定期的に行なっていたら、債権債務認識の不一致が早期に発見でき、自社内で行なわれている不適切な操作に早めに気付くことができたかもしれません。

ですから、下記の図にあります①に記載のとおり、決算時の統制手続き(例えば、残高確認や入金確認・年齢調べ、収益や費用の認識時期に関するカットオフテストの実行など)により、各業務プロセスの誤謬のみならず、場合によっては不正までも未然に発見できる可能性があるわけです。そして、②に記載のとおり、決算財務報告プロセス内で行なわれる決算整理仕訳や連結範囲の検討、関連当事者との取引把握は、虚偽記載の事例が非常に多い分野ですので、特に内部統制の整備に関して有効に機能するデザインとなっているか、慎重に検討する必要があります。

是非、決算・財務報告プロセスにおいて、経理部門の方々が果たすべき内部統制の役割の重要性をご理解頂き、財務諸表の虚偽記載や不適切会計が行なわれない体制、仕組みを十分に検討頂きたいと思います。

不適切会計事例に学ぶ内部統制の重要性