会計コンサルティング業界における組織マネジメント

私が尊敬する経営コンサルタント藤田勝利さんの著書『ノルマは逆効果~なぜ、あの組織のメンバーは自ら動けるのか~』を拝読しました。「組織マネジメント」に関する基本をドラッカーの言葉を引用しながらとても分かりやすく解説されており、今の時代に合う「組織づくり」のヒントが沢山紹介されています。ベンチャー企業の経営者や、これから事業を興し組織を創ろうと考えている方々に特にお勧めの1冊です。

当社のように会計コンサルティング会社や監査法人、税理士法人などでは、様々なバックグラウンドを持つ有資格者・即戦力人材が中途採用により入社してくることから、同じ目標や目的意識を持って働くのは非常に難しく、「出入り」の激しい業界だと感じています。この業界では、本書の指摘にあるとおり、単に売上目標等を管理職の者が配下メンバーに説明しても「腑に落ちる」はずがなく、実務担当者の目線に立つと、「新規顧客の受注」=「面倒な仕事がまた増える」としか思ってもらえないこともしばしばあります。また、日々の業務に忙殺され、「何のために働いているか?」「誰のためにやっているのか?」という疑問を抱えながら仕事をしている会計士がとても多いです。

このような職場で、従来型のマネジメント手法、つまり上司と部下の関係であったり、目標管理の仕組みを導入して人事考課を取り入れても、「成果をあげられない」ということを本書を通じ再認識しました。

  • 自分達が強みを発揮できる支援業務(勝負したい土俵)がどこか?(顧客がどこに一番の価値を感じて頂けているか?)
  • その分野で圧倒的な顧客からの信頼を得るために、組織として必要な行動習慣が何か?
  • その行動をメンバー全員が習慣化するために、どのような「仕組み」(インセンティブや役割分担、社内ルール等)が有効か?

これらを社内メンバー同士でディスカッションし、本当に「腹落ち」したところで、「成果のあがる組織」づくりを考えて行きたいと思います。そして、顧客(ファン)を創り出すことに貢献できている、そう実感できる社員を1人でも多く増やせるよう、組織としての魅力づくりとバックアップ体制を同時に考えていきたいと思います。

長時間労働是正に必要な7つの視点②

前回のコラムでは、経理や開示書類作成に携わる部署において、長時間労働を是正するのに必要な7つの視点をご紹介しました。本稿からは、それぞれの視点に基づいて何を実施すべきか、その具体策について説明していきます。

私が考える長時間労働を削減するための方法は、下図の通り3つのステップから成ります。 続きを読む →

長時間労働是正に必要な7つの視点①

以前のコラム(長時間労働に陥りやすい企業の特徴)で紹介した通り、長時間労働に陥りやすい企業の特徴として、

  • 業務が属人化し、キーマンに業務が集中してしまっている
  • 『人手不足』だからと諦めてしまっている
  • 決算修正が多く、作業の手戻りにより業務が増えてしまっている
  • その他(会議が多い、社内説明資料の作成に時間を割かなければならない)

等が挙げられます。そして、長時間労働を是正するためには、『残業をさせない』といった強制的なルールを策定する、あるいは、指示だけ与えて対応は現場任せにする等、形だけの対策を採っても根本的な解決にはなりません。

では、経理部や開示書類作成を担当される部署において、長時間労働を削減し生産性の高い組織にするためには、どうすれば良いか?

この点について、私の考える対応策を本コラムで紹介したいと思います。 続きを読む →

長時間労働に陥りやすい企業の特徴④-その他

特徴④ その他

長時間労働に陥りやすい企業のその他の特徴を以下に記載します。

  • 会議が必要以上に多い(例えば打合せをする前に関係者で集まって打合せの打ち合わせまでしているような会社)
  • 会議の時間が長い
  • 会議の参加者メンバーが多い
  • 付き合い残業が多い
  • 残業が習慣になってしまっている
  • 社内説明用の資料が多い(社内の経営会議等で説明するための資料作りが膨大で、決算の時期にその対応もしている)

まとめ

このように長時間労働に陥っている企業にはいくつか共通する特徴があります。

これらの改善を図るには、担当者個人の判断でできるものでは少なく、多くの場合、組織として取り組む必要があります。 続きを読む →

長時間労働に陥りやすい企業の特徴③-決算修正が多い

特徴③ 決算修正が多い

長時間労働に陥る企業に多い特徴の3つめは、決算修正が多いことです。

下の図(図3)では、当社で支援している3月決算の会社のうち、決算発表間際まで財務諸表の修正が入ることの多かった会社のスケジュール例です。
上段が計画で下段に書いているのが実績になります。比較しやすいようにガントチャート形式で載せております。 続きを読む →

長時間労働に陥りやすい企業の特徴②-人手不足

特徴② 人手不足

長時間労働に陥っている企業に多い特徴の2つめは、「人手不足」を理由にされていることです。

「良い方が採用できない」「採用できないから、既存メンバーで残業してでも回すしかない」と嘆いていらっしゃる会社の話を良く聞きます。

ここ数年、特に、決算や開示実務経験者の求人は多く、完全に就職者の「売り手市場」の状態が続いております。

このような環境ですから、採用募集しても、即戦力となる「経験者」がすぐには見つからず、仮に採用できたとしても、「売り手市場」なので、他に良い条件の求人が見つかればすぐに転職されてしまいます。

このような「人手不足」や環境のせいにして、長時間労働はやむを得ないと諦めてしまっている会社が多いですが、一方で採用が上手くいっている会社や人材の育成・ローテーションが上手くいっている会社も存在します。

採用や人材の育成が上手くいっている会社とそうでない会社で、いったい何が違うのか、その背景にある根本原因について考えてみますと、、 続きを読む →

長時間労働に陥りやすい企業の特徴①-業務属人化

上場企業の経理部やIRに携わる部署においては、四半期毎に訪れる決算の時期にどうしても業務が集中し、残業時間が増えてしまうという課題を抱えられているケースが非常に多いです。本ブログでは、そのような企業に共通する特徴とその背景について解説いたします。

特徴① 業務属人化

まず、長時間労働が発生してしまっている会社において圧倒的に多い課題の1つとして『業務の属人化」が挙げられます。 続きを読む →

孫正義-300年王国への野望-に学ぶ プラットフォーマー戦略

「孫正義ー300年王国への野望ー」(日本経済新聞社)は、巨大企業ソフトバンクを築いた孫社長がどのような経営者かを知るうえで、とても参考になる。特に、米スプリント社に続き英アーム社を買収した背景に「一貫した戦略」があることを理解でき、これからの同社の成長が楽しみになった。

本書でも紹介されているとおり、孫社長は米国の石油会社を例に出し、「シェアで1位になるとそのエリアでライバルを完全に制覇したら値段を少しずつ上げて儲かるようにしていく」というマーケティング戦略を語られることがあるそうだ。

ロックフェラーのように「流通の上流と下流の最大手を一気に独占してしまうことが、流通のプラットフォーマーとなる最短距離だ」との考えは、大胆だがとても興味深い。ここ最近のソフトバンクの一連のM&A戦略も、この視点から考えると一貫性があることに気付かされる。

また、本書では、ソフトバンクが現在の巨大企業になるまでに、様々な方々の支えがあったことを紹介している。成長ステージによってCFOの求められるスキルが異なることを、実例を読んで改めて感じた。

「ツーペア」より「フォーカード」を狙うという孫社長流の思考法を見習いたい。