前回のコラムでは、経理や開示書類作成に携わる部署において、長時間労働を是正するのに必要な7つの視点をご紹介しました。本稿からは、それぞれの視点に基づいて何を実施すべきか、その具体策について説明していきます。
私が考える長時間労働を削減するための方法は、下図の通り3つのステップから成ります。
STEP 01
まず、既存業務プロセス及び作成資料の棚卸を行い、削減・廃止すべき成果物や統合できる資料がないかを調査するのがSTEP01の作業になります。
具体的には、基礎資料の一覧を作って、それぞれの資料が開示資料のどこに使われているかや、エクセルのブック間/シート間の関連を整理し、廃止や統合できるシートがないかを調べるのがここでのステップです。
この作業を通じて、不要な業務を削減・廃止・統合ができれば、労働時間の削減につながります。
STEP 02
次に、実施している作業の実施時期を再検討し、前倒しすべき作業や繁忙期でない時期にできる作業がないかを検討するのがSTEP02の作業になります。
具体的には、決算作業を始める前に、各期の開示のトピックスや開示項目の確認を関係者で共有し、早めに着手できるものから前倒しで作業していくことで繁忙期の残業を減らすことかできます。
合わせて、特定の方に業務が集中し、その方のみ長時間労働を余儀なくされる事態を避けるために、業務分担の見直しを行い、適切に分担できているかを検討すると良いと思います。
この作業を通じて、繁閑差を是正することで、繁忙期の長時間労働を削減できます。
STEP 03
このステップでは、業務標準化や品質管理の見直し(つまり自社のチェックフローの見直し)、あるいはRPA(Robotic Process Automation、ロボットによる自動化)やシステム導入による効率化を図ることができないかを検討します。
業務標準化に取り組みチェックしやすい資料作りを心掛けることで、査閲者によるチェック時間も短縮でき結果としてミスが起こり難くなります。また、チェックリストの導入や決算時にチェックすべきポイントを明確にしておくことで、決算作業の手戻りが減り、結果として効率よく業務を進めることができます。さらに、システム導入により手作業で行っていた煩雑な業務を効率化したり、最近よく話題にもなりますRPAの技術を活用して業務の自動化に取り組み、業務効率を上げるといった対策も考えられます。
これらを通じて、業務効率を改善することで、業務時間の短縮が期待できます。