長時間労働是正に必要な7つの視点③

前回のコラムでは、決算開示業務における長時間労働是正に向けた3つのステップについて解説しました。本稿では、それぞれのステップでの取り組みにより、どのように時間が減るのかを説明します。

下図は、3月決算の会社のそれぞれの時期の1人当たり週平均就業時間の推移のイメージになります。

3月決算の多くの会社では、4月中旬から急に忙しくなりゴールデンウィーク前後が繁忙期になるかと思います。

決算短信を提出し、計算書類の校了まで終える5月中旬で業務はひと段落し、その後有報作成作業が終わる6月上旬あたりまでが忙しい時期かと思います。

このような会社を前提に、前述の3つのステップの施策を採ることで、就業時間にどのような変化をもたらすかをまとめたのがこちらの図になります。

グラフの横軸に時期、縦軸に週平均就業時間数をとりますと、赤字の実線のような推移となります。左側が取組前、右側が取組後のイメージです。

まず最初に取り組むべき業務改善としては、時間削減、つまりそもそも必要な作業かを見直すことです。これによって作業全体のボリューム自体を短縮できる可能性があります。つまり、赤字の実線全体を押し下げるような効果が期待できます。

次にSTEP2として、繁閑差の是正に取り組むことで、繁忙期の業務を前倒して全体的になだらかな曲線にし、ピーク時の長時間労働を緩和する効果が期待できます。

STEP3の業務効率の改善に取り組むことで、全体的に少しずつ業務時間を短縮できる可能性はありますが、先ほどの2つと比べますと即効性に欠ける施策と言えます。

このようにそれぞれの施策によって、就業時間数の推移に与える影響は異なります。長時間労働を是正するためには単に業務効率を改善するだけではく、そもそもやる必要があるのかを考えたり、業務の前倒しや役割分担の見直しによりピーク時の残業を平準化する施策を考えることも忘れないでください。

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