以前のコラムで長時間労働を削減するための3つのステップをご紹介しましたが、本コラムでは、最初のSTEP01で取り組むべき『削減・廃止』『統合』という2つの視点による改善策の具体例を紹介します。
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長時間労働に陥りやすい企業の特徴④-その他
特徴④ その他
長時間労働に陥りやすい企業のその他の特徴を以下に記載します。
- 会議が必要以上に多い(例えば打合せをする前に関係者で集まって打合せの打ち合わせまでしているような会社)
- 会議の時間が長い
- 会議の参加者メンバーが多い
- 付き合い残業が多い
- 残業が習慣になってしまっている
- 社内説明用の資料が多い(社内の経営会議等で説明するための資料作りが膨大で、決算の時期にその対応もしている)
まとめ
このように長時間労働に陥っている企業にはいくつか共通する特徴があります。
これらの改善を図るには、担当者個人の判断でできるものでは少なく、多くの場合、組織として取り組む必要があります。 続きを読む →
業務属人化からの脱却方法③-業務属人化がもたらすリスク
今回は、法定開示書類作成実務における業務属人化のリスクについて解説します。
『開示実務ができるキーマンがいて、それで実務が回っていれば特に問題ないではないか?』と考えられる方もいらっしゃると思います。この業務属人化という状況を放っておくとどのような事態を招くのかについて、当社で提案に伺った際に伺った実話をもとに、いくつかの事例を紹介します。
ケース1:誰とも業務を共有しないまま、経理部長が突然退社
上場申請書類の作成から上場後の開示書類の作成まで取り纏め役として、開示書類の大部分に関わってこられた方が急遽退社され、過去に作成した開示根拠資料がどこにあるか、どのように集計・作成されていたかなどの引継ぎが十分になされなかったそうです。後を託された方が対応に困り、弊社へ相談が持ち込まれました。
この会社では開示の実務経験者の採用も行われておりましたが、良い方が直ぐには見つからず困っておられました。
このようなケースが生じると何が問題となるかというと、まずは過去の注記や書類の作成プロセスを十分に理解しないまま本決算対応をすることになり、当然、過去のやり方・考え方と違うポリシーで作成してしまう、あるいは、情報不足で誤った数字を拾ってしまうなどの誤謬発生リスクが高まります。
また、このお客様のケースでは何とか予定通りに決算発表、法定開示書類の提出が間に合いましたが、場合によっては開示書類提出の遅延、つまり開示遅延リスクを招くことにもなりかねません。
さらに、急いで採用を決定してしまうと、採用のミスマッチが生じるなど、採用リスクも高まることにつながります。
この様に、キーマンが突然退社されると、様々なリスクが生じます。
ケース2:担当者が産休のため、1年間休職することが決定
この会社では、開示システムへの入力業務を担当されていた方が産休に入られることとなり、その結果、開示書類の作成、入力ができる担当者が一次的に不在になるという事態になりました。
産後、復職された後はこれまで通りの体制に戻る予定であったため、一時的なリソース不足を補うため、弊社にアウトソーシングのご相談がございました。
この様なケースでは、リソースの補充という手段が採れない限り、上長や同僚の業務負荷が高まり、長時間労働での対応を余儀なくされる事態も想定されます。そうなりますと、体調を崩すなどの労務リスクや、場合によっては疲労やストレスが原因で退職してしまうという事態(退職リスク)を招きかねません。
ケース3:管理部門責任者が連結決算から開示まで1人で担当
この会社では、管理部門責任者による会社資金の私的流用、着服が発覚し、責任者の方が解雇されました。
これまで連結決算から開示までこの方が1人で対応され、引継ぎ資料やマニュアルなどが存在しなかった為に、これまでの作成プロセスを紐解くだけで相当の時間がかかってしまったそうです。そこで、決算発表が期日に間に合わなくなるリスクを回避するため、弊社で開示書類の作成部分を支援することとなりました。
この会社のように、特定のキーマンに業務が集中し、それをチェックする人がいない状況を作ってしまうと、このケースのように不正リスクに繋がりかねないので、ガバナンスの観点からも業務分担とその統制には十分な留意が必要となります。
これら3ケースは、上場会社において実際に起きた事例です。
確かに、業務の属人化が起きてしまっていたとしても直ぐには困らないかもしれませんが、ここで紹介したリスクを考えると、上場会社として継続開示義務を負っている以上は、何らかの対策を検討しなければなりません。
次回のコラムから、属人化を解消する方法について解説します。
業務属人化からの脱却方法①-長時間労働につながりやすい職場慣行
昨年の電通事件以降、長時間労働に関する法整備の検討が進んでおり、最近は、様々な企業で『働き方改革』に関する検討や制度導入を進めているという話しを耳にします。
先日、経団連が「長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策」というテーマについて、会員企業を対象に調査を行い、その調査結果が公表されています。
この資料によれば、長時間労働につながりやすい職場慣行として挙げられたもののうち、ダントツで最も多かったのが「業務の属人化」だったそうです。
2017年7月18日経団連公表「2017年労働時間等実態調査集計結果」より抜粋
皆様の会社でも、法定開示書類作成にあたって業務が属人化している、或いは特定の方に業務が集中しているといった課題を抱えられている会社も多いと思います。
そこで、本コラムでは、「開示業務の属人化を解消するためにはどうすれば良いか」という点にフォーカスして、法定開示書類を作成するための仕組みづくりのポイントを解説いたします。