長時間労働に陥りやすい企業の特徴①-業務属人化

上場企業の経理部やIRに携わる部署においては、四半期毎に訪れる決算の時期にどうしても業務が集中し、残業時間が増えてしまうという課題を抱えられているケースが非常に多いです。本ブログでは、そのような企業に共通する特徴とその背景について解説いたします。

特徴① 業務属人化

まず、長時間労働が発生してしまっている会社において圧倒的に多い課題の1つとして『業務の属人化」が挙げられます。

連結決算や開示書類の作成という業務は、誰しも簡単にできるという業務ではなく、それなりの専門的な知識や経験というものが求められます。その結果、業務をできる人がどうしても限られ、特定の方に業務が集中し、その方の勤務時間がどうしても長時間になってしまうことが良くあります。

業務が属人化してしまっている会社では、開示書類作成等のプロセスがブラックボックス化し、その方に聞かないとどのように作成しているかが分からないといった状態になっています。

そうなると、第三者からは分かり難い(独特な)方法で数値集計や書類作成が行われるようになり、その結果、上長や内部監査の方もチェックしにくいような基礎資料が出来上がってしまいます。

そのような状態を放置しておきますと、新しい方に業務を引き継ごうと思っても、そのキーマンの方が忙しいことからマニュアルを作成する余裕がなく、引継いで業務を教える時間も採れない。1から教えるぐらいなら自分でやってしまうほうが早いと考えてしまい、誰にも頼むことができないような業務が増えてしまいます。その結果、業務が益々その方に集中してしまうという悪循環に陥ってしまいます。(図1参照)

【図1 業務属人化に陥るプロセス】

つまり、どなたか1人にしかできない業務というものを作ってしまいますと、①業務プロセスがブラックボックス化し、②標準化できないことから、③業務引継ぎや役割分担ができない結果、④益々そのキーマンに業務が集中してしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

一方、業務属人化が解消されているケースがどうなっているかを先ほどの事例と比較しますと、

まず①業務プロセスがきちんと整理され『見える化』できています。

このような会社では、②担当者毎の業務分担や作業内容が明確にし、『業務を標準化』し、業務マニュアルや作業手順書等を作成することが可能です。

業務が標準化され、マニュアル等も充実してさえいれば、各期毎に新しいメンバーに業務を引継ぎ、ローテーションを組むことも可能になります。

その結果、③1つの業務を複数の方が担当できる状態になり、逆に1人の方が様々な業務を担当できる状態、つまり『多能化できている状態』を作ることができます。

そうすれば④『いつ担当者を変更しても困らない』という理想的な状態を築くことができます。

以前のコラムでも書きましたが、業務属人化を放っておきますと様々なリスクが生じますので、業務属人化を早期に解消し、適切な業務分担ができる組織を目指しましょう。

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