IASBフーガーホースト議長 が来日

IFRS(国際会計基準)の設定主体であるIASB(IF)のハンス・フーガーホースト議長が2015年12月21日、東京でIFRSの状況に関して説明し、日本でのIFRS任意適用の拡大を評価する一方、日本版IFRSともいわれるJMIS(修正国際基準)については「意見発信の手段と理解している」との見方を示したそうです。

IT PROの記事

記事の中で、今後のIFRS導入の動向を左右する2つのポイントのついて、ハンス・フーガーホースト議長の見解が語られましたので、記事の内容をご紹介します。

1.「日本はIFRSの強制適用(フルアドプション)を考えるべきか」との質問に、「ここから先は日本の当局(金融庁)の考え方次第だ」と語る。

”『国際的に事業を展開していない中堅中小の企業には日本基準を適用する』との方針を採るのは個人的に理解できる。一方、会計基準の比較可能性を重視して、『全ての企業を対象に、会計基準をIFRSに一本化する』との方針を採ることも理解できる。会計基準を自国でどうするかは各国の当局が決めるべきことで、我々はその決定を尊重する”(同記事より抜粋)

IFRSの強制適用は当面はなさそうです。ただし、グローバルにビジネスを展開している企業では、会計基準の比較可能性が重視され、今後も、IFRS任意適用の拡大傾向は続くと私は思います。今後の金融庁の動向に注目したいです。

なお、IFRS任意適用を予定している企業等の情報は東証のHPで適宜公表されております。
IFRS適用済・適用決定会社一覧

2.のれんの「償却」について、IFRSでのれんを償却可能にするのは容易でないとの見方を示す。

”IFRSではのれんを「非償却」としているのに対し、JMISでは「償却」としている。IASBではのれんの扱いについて、「のれん及び減損プロジェクト(Goodwill and Impairment Project)」で議論を進めているが、フーガーホースト議長、IASBの鶯地隆継理事はともに、IFRSでのれんを償却可能にするのは容易でないとの見方を示した。”(同記事より抜粋)

FASB(米国財務会計基準審議会)とのコンバージェンス(収斂)がほぼ完了しているとのことですので、日本においても、特にグローバルにビジネスを展開している大企業においては、近い将来、のれんを「非償却」にする会計実務が定着するかもしれません。

現時点で、JMISの採用を表明した日本企業は1社も存在しないようです。今後も、同基準が実務で採用されるケースは稀有だと私は考えています。

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